2014年8月18日月曜日

社説:【更新】沖縄2県紙が社説で安倍政権の蛮行を激しく糾弾


【ひたすら強硬姿勢の安倍政権を2県紙・社説が糾弾!】

「辺野古移設」を急ぐ政府の常軌を逸した強硬さに18日付2県紙・社説が怒りを爆発させました。

◆◆<社説>掘削作業に着手 もはや「恐怖政治」だ 蛮行中止し民意を問え

 8・18 琉球新報 ・一部を抄出

 

 〈住民を丸ごと、力ずくで屈服させようとする政府の意思が、これほどあらわになったことがあっただろうか。沖縄防衛局は、普天間基地移設に向け調査用の台船を名護市辺野古の海に設置し、海底掘削のための作業に着手した。

 確かに抵抗運動への弾圧は過去にも散見される。だが辺野古移設は県民の74%が反対する事案だ。一県の圧倒的多数の民意を踏みにじって強行した例が他にあるか。

  百姓一揆弾圧を想起させるが、近代以降なら「琉球処分」と「軍官民共生共死」を強いた沖縄戦しかあるまい。沖縄にしか例がないなら構造的差別の表れに他ならない。国際的にも恥ずべき蛮行だ。

  政府に歯向かう者なら、いくらけがをさせても構わない。一連の経過でむき出しになった住民への政府の害意、敵視に暗然とする。

  中でもそうした姿勢を露骨に示したのが海上保安庁だ。「安全確保のため」と説明しているが、噴飯物だ。15日には男性を羽交い締めにして強制排除しようとした際、眼鏡が壊れた男性は目の近くを切るけがをした。経緯はどうあれ「安全確保」の名目でけがが発生したのは皮肉と言うほかない。

  政府は今回、法的根拠も不明のまま、立ち入り禁止海域を一方的に設けた。施政者による恣意的な住民の主権剥奪は、お札一つで禁令を発した江戸時代そのままだ。

  それでも足りず、今度は海保がその海域の外側でも、法的根拠も示さぬまま市民の身柄を拘束した。漁港を出港するだけで警告し、海域の外側に近づくことさえ大声で威嚇するありさまだ。憲法は、法定の手続きを経ずに何人も自由を奪われないと定めているが、海保はその令状主義も無視している。これでも法治国家か。

  住民にけがをさせることもいとわず、法的根拠が疑わしい行為を平然となす。「海の無法者」はどちらなのか。海上保安庁は、今後は「米軍基地建設保安庁」に名を改めた方がいい。

  第11管区海上保安本部が復帰後営々と努力し、かち得てきた県民の信頼を、この数日で台無しにした。海保はその現実を知るべきだ。

  安倍晋三首相は防衛官僚らに工事の遅れを詰問し、作業を早めるよう強く督促したという。

 安倍首相は今、本土にとって「遠隔地」の尖閣をめぐり、中国との紛争も辞さない構えを見せている。その紛争に米軍を引き込もうとして辺野古新基地建設に躍起となっているようにみえる。米国のご機嫌を取るために、沖縄住民の安全と沖縄の土地と美しい自然を差し出そうとする構図だ。

  その構図は、「本土決戦」を先延ばしするために沖縄の全滅を強いた沖縄戦の「捨て石」作戦とうり二つではないか。

  今回の作業で海上保安庁はメディアの取材の船が付近海域に近づくことも制限した。政府が知ってほしくない情報は、接近すら処罰しようとする特定秘密保護法の施行を先取りしている。安倍政権は「専制国家」からもはや「恐怖政治」へと進みつつあるようだ。

  現状は仲井真弘多知事の埋め立て承認が招いた事態だが、知事選の公約に背いた承認に民主主義的正当性はない。日本が民主主義国であるなら直ちに作業を止め、11月の知事選で民意を問うべきだ。〉

 

  

◆◆社説[辺野古海底調査]強硬一点張りを憂える 8・18 沖縄タイムス

 ・一部を引用

 〈沖縄防衛局は、終戦記念日もお構いなしに全国から巡視船を大量投入し、警備員、作業員を雇い、ブイ(浮標)、フロート(浮具)の設置作業を進めた。17日には、日曜日にもかかわらず、ボーリング調査の足場となる台船を海上に設置した。

 名護市辺野古沿岸部の埋め立てに向け、海底の地質などを調べるボーリング調査がいよいよ本格化するが、現場では、海上保安庁の強硬姿勢が目立つ。

 15日の作業では、カヌーやボートで示威行動を行った市民を海上で一時拘束し、強制的に排除した。

 辺野古海域に出る漁船長に対しては、指示に従わせる「立入検査指導事項確認票」への署名を迫った。確認票は「工事作業区域には進入しない」「工事作業船や工事警戒船に接近しない」など5項目。

 指導に従わず違反行為を繰り返した漁船が対象だと説明しているが、初めて辺野古海域を訪れた漁船長も対象になっている。

 あきらかにやり過ぎだ。航行の自由や表現の自由に抵触するおそれもある。

 強硬一点張りの先には、11月の県知事選を見据えた官邸のシナリオがある。

 ボーリング調査を早めに終わらせ、後戻りはできないという空気を醸成して辺野古移設問題の争点化を避け、並行して現職をバックアップするような振興策や負担軽減策を打ち上げ、仲井真弘多知事の当選を勝ち取る。それが官邸のシナリオである。

 だが、このシナリオには、重大な欠陥がある。沖縄の人々の尊厳、歴史体験に根ざした平和を求める心を軽んじ、何でも金で解決できると思っている点だ。政権のおごりは、民主主義の健全な発展の妨げになりつつある。〉

 

 

 
 
 

 

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