2014年9月25日木曜日

【9・24付沖縄2県紙・社説】江渡防衛相の訪沖について

9・24付2県紙が江渡防衛相の訪沖について社説を掲載しました。

 社説[辺野古移設作業]知事選まで中断が筋だ 9・24 沖縄タイムス

 <社説>江渡防衛相来県 汗流すべきは民意の実現 9・24 琉球新報

 

 タイムスはこう主張しています。

 〈11月の知事選は、1月の名護市長選や今月7日の名護市議選に続き、埋め立てを承認した仲井真知事の判断が民意を代表したものといえるのかが問われる。知事選までボーリング調査などの移設作業は中断し、民意の動向を見定めるのが筋だ。〉

 

 これは理解できますが、次の結語はどうでしょうか。

 

 〈「見たくない現実」に目を背け、移設強行に走るのは民主主義を否定する愚挙というだけでなく、「安保の安定性」の観点からも危うい。

 県が2012年に実施した県民意識調査で、在日米軍専用施設の約74%が沖縄に集中することに、7割超が「差別的だ」と回答している。

 安倍晋三首相は米国で国連外交を展開中だ。国連安全保障理事会の常任理事国入りへ布石を打つのが眼目である。国際社会の信頼を損なわないためにも、足元の沖縄で安全保障政策の脆弱(ぜいじゃく)ぶりを露呈するリスクは避けるべきだ。〉

 

 ここにいう「安保の安定性」とは何でしょうか。「国際社会の信頼を損なわないためにも、足元の沖縄で安全保障政策の脆弱(ぜいじゃく)ぶりを露呈するリスクは避けるべきだ」とありますが、沖縄に米軍基地が圧倒的に集中している現実を県民のほとんどが差別的と感じていることは米軍基地の「安定的運用」を妨げるから、それは安全保障政策として脆弱であるということなら、その立論は安保条約体制の堅持こそ最重要という安倍政権の論理の土俵に乗っています。

 主張されるべきは、沖縄では安保体制が憲法の上にあるという現実を指摘し、日本「本土」の安全保障のために沖縄が犠牲にされ続けていることを告発することではないでしょうか。

 

 新報は結語でこうのべています。

 

 〈江渡氏は今回の来県で普天間飛行場の移設に伴う新基地建設の作業が進む名護市辺野古を訪れた。しかしヘリに搭乗しての上空からの視察だ。菅官房長官も武田良太防衛副大臣も上空視察だった。これでは物見遊山ではないか。政府は世論調査で8割を超える人が求めている「移設作業を中止すべきだ」との民意に耳を傾け、計画見直しにこそ本気で汗を流すべきだ。〉

 

 この主張に至る論の運びはタイムスとは違い安保体制最重要論に乗っていません。

 

第3次安倍内閣の閣僚は誰一人、新基地を押し付けようとしている辺野古現地を訪れ住民の声に耳を傾けようとしません。それでいて口を開けば「県民の皆様の理解を得られるよう努力する」というのですから、理解を得るどころか、いよいよ反感を強めるのは当然です。

 ヘリに乗って上空から3分間視察しただけで「移設作業は順調」と言い募るその姿勢が不信の源であることに気づかないのか、気づいていて気づかないフリをしているのか。おそらく後者でしょうが。

 

〔参考記事・社説〕

◆◆社説[辺野古移設作業]知事選まで中断が筋だ 9・24 沖縄タイムス

 

 

◆◆<社説>江渡防衛相来県 汗流すべきは民意の実現 9・24 琉球新報

 

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