2014年10月13日月曜日

【10・13付沖縄タイムス・社説など「ガイドライン」再改定関連】

10・13付沖縄タイムス・社説「[日米防衛指針]国会軽視は許されない」から抄出します。

 

 〈自衛隊の米軍支援が、際限なく広がり、日本が米国の戦争に巻き込まれるのではと懸念される。

 自衛隊と米軍の役割分担などを定めた「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改定に向けて、日米両政府が中間報告を発表した。

 現行ガイドラインの「周辺事態」の概念を削除し、地理的な歯止めをなくして日米の防衛協力を地理的、内容的に大きく拡大させるものだ。

 現行ガイドラインの「平時」「日本有事」「周辺事態」の3分類を撤廃し、武力行使に至らないグレーゾーン事態も含め「平時から緊急事態までいかなる段階においても切れ目のない形」で共同対応すると明記している。

 対米支援の地理的制約撤廃や地球規模に拡大する日米防衛協力は、日本の安全保障政策の一大転換につながる重大な問題を含んでいる。同時に、憲法や日米安全保障条約が許容する防衛協力の在り方を逸脱する可能性がある。

 日米安保条約は第5条で米国の対日防衛義務、第6条で米国への基地提供義務を定めている。6条はさらに「日本の安全に寄与し、極東における平和、安全の維持に寄与するため」と米軍の駐留目的を明記している(極東条項)。「地球の反対側」も含めた日米協力のグローバル化は、この条文と整合性が取れない。

 

 安倍首相の政治手法は、世論を二分する問題で、言動が一致しないことだ。首相は以前、国会の発議要件を「3分の2以上」から「過半数」に引き下げる憲法96条の改正論を掲げていた。「国民から国民投票の機会を奪うな」という論理だった。その当人が、発議権を持つ国会の議論を軽んじ、閣議決定による解釈改憲に踏み切ったのである。

 

 ガイドライン改定は、最終報告に向け、日米政府の協議が水面下で着々と進んでいるといわれる。集団的自衛権の行使容認にせよ、ガイドライン改定にせよ、国会軽視の姿勢があまりに露骨だ。〉

 

 いわゆる「ガイドライン」(「日米防衛協力のための指針」)は日米の防衛・外務4閣僚が署名する二国間の取り決めですが、その策定は日米安保条約の改定に等しいものです。

 「ガイドライン」で日米間の軍事同盟関係を改定するのは、60年安保闘争の高揚にこりた両国政府が日本の国会と米議会での批准・承認をパスする方法として編み出したものです。つまり両国の防衛・外務のトップ4人の談合だけで条約を改定する手法です。ありていに言えば、4人の間の私的な取り決めですが、それでそれぞれの軍の戦略が規定され現実に軍が運用されます。いうまでもなく、それ自体、立憲主義の無視であり蹂躙です。

 安倍首相は7・1解釈改憲閣議決定で集団的自衛権を容認し9条を絞め殺しましたが、その「戦争する国」「戦争できる国」への転換を「ガイドライン」に反映し日米の軍事一体化を飛躍的に強化しようとしています。

 

 

10・12付時事記事「グローバル化対応を=防衛指針で、自民・高村氏」にこうあります。

 

 〈自民党の高村正彦副総裁は12日、NHKの番組で、日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定に向けた中間報告で、自衛隊の活動の地理的制約が取り除かれたことに関し、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態がグローバル化している事実を認識しないといけない」と述べ、理解を示した。〉

 

 こうなると政府はまったく地理的制約なしに集団的自衛権を行使できます。自衛隊は米軍の子分、補助部隊として〈世界のどこででも武力行使する〉ことになります。

 

〔参考記事・社説〕

社説[日米防衛指針]国会軽視は許されない 10・13 沖縄タイムス

 

 

グローバル化対応を=防衛指針で、自民・高村氏 10・12 時事

 

 

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