安倍政権が米海兵隊の新基地建設のために強引に埋め立てようとしている辺野古沖海域を環境省が海の生物の多様性を守るための「重要海域」に選定しました。安倍政権は貴重であるからこそ保護すべき海を自ら破壊しようとしています。
琉球新報の記事と共同記事を一部抄出します。
▼5・10付琉球新報・記事「環境省「重要海域」選定 県内は辺野古沖含む18カ所」から。
〈【東京】環境省の有識者会議は9日までに、海の生物の多様性を守るため、日本の排他的経済水域(EEZ)内で「重要海域」を初めて選定した。県内からは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されているジュゴンの生息地で、米軍普天間飛行場の移設予定地、名護市辺野古沖を含む沿岸域18カ所が選ばれた。2010年に名古屋市で合意した生物多様性条約の「愛知目標」は、「20年までに少なくとも海域の10%を保護区などとして保全する」と掲げており、環境省は海洋保護区拡大を視野に入れる。具体的な区域確定や特徴などを整理した後、今夏に公表する。
新たな基地の建設予定区域は県が策定した「自然環境の保全に関する指針」で、「自然環境の厳正な保護を図る区域」であるランク1と評価されている。あらためて生物学・生態学の観点から保全が必要な海域として示された形だ。〉
▼5・9付共同記事「生態系保護へ「重要海域」 環境省、沿岸270カ所選定」から。
〈絶滅の恐れが極めて高いジュゴンの主要生息地で、米軍普天間基地の移設予定地となっている沖縄県名護市辺野古沖を含む沖縄島のほとんどの沿岸も重要海域となった。〉
▼5・10付琉球新報・社説「辺野古は重要海域 海洋保護区に設定すべきだ」から。
〈重要海域は文字通り生物多様性を保全する上で重要な海域を指し、固有種が分布、絶滅危惧種が生息、日本を代表する生態系がある-などの8項目を選定基準にしている。法的拘束力はないが、日本の海洋保護区拡大を図る狙いがある。
海洋保護区は海の生態系保護のため開発行為などを規制する海域を指す。サンゴ礁の周辺、魚の産卵海域などに設定される。2010年に名古屋市で開かれた生物多様性条約の第10回締約国会議では20年までに少なくとも海域の10%を保護区などとして保全する目標を採択している。
今回、重要海域に選定された名護市辺野古沖は海洋保護区に最優先で設定されるべきだろう。要件を幾つも備えているからだ。国の天然記念物や国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されているジュゴンの主要な生息地だ。同じく絶滅危惧種のアカウミガメ、アオウミガメも生息し、砂浜での産卵も確認されている。
辺野古沖の大浦湾には希少種アオサンゴの大群落があり、生物多様性に富む海草藻場では環境省が準絶滅危惧種に指定する海草7種も広がっている。海洋保護区設定に異論を挟む余地はない。
しかし日米両政府はこの海域を埋め立てて、軍事基地の建設計画を強行しようとしている。今夏にも予定海域21カ所で海底ボーリング調査や磁気探査を実施する構えを見せている。この計画と環境省の方針は明らかに矛盾している。海の生物多様性を保全するとの国際的な流れに逆行する暴挙であり、時代錯誤だ。〉
〔参考記事〕
◆環境省「重要海域」選定 県内は辺野古沖含む18カ所 5・10 琉球新報
◆生態系保護へ「重要海域」 環境省、沿岸270カ所選定 5・9 日経・共同
◆◆5・10付琉球新報社説「辺野古は重要海域 海洋保護区に設定すべきだ」
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