2014年6月16日月曜日

「北限のジュゴン調査チーム・ザン」が防衛省、海上保安庁などに要望書を提出


名護市を中心にジュゴンの生息調査を続けている「北限のジュゴン調査チーム・ザン」が6月12日付で、防衛大臣と沖縄防衛局長、海上保安庁長官と第十一管区海上保安本部長に対し「希少なジュゴンの利用している餌場およびジュゴンにとって圧力となる行為を行わないこと」を要望しました。ここでは防衛大臣と沖縄防衛局長あての要望書を紹介します。

 なお、「北限のジュゴン調査チーム・ザン」のブログにカラーの図版「2014年6月3日までにチーム・ザンが見つけたジュゴンの食み跡」が出ています。 

 
 
 
防衛大臣と沖縄防衛局長あて要望書
 

     要望書

防衛省 防衛大臣 小野寺五典様

沖縄防衛局 局長 武田博史様

2014612

     北限のジュゴン調査チーム・ザン

     

 私たちは現存する沖縄のジュゴンの生息調査を行っている市民グループです。

私たちは以下の理由により、防衛省・沖縄防衛局は希少なジュゴンの利用している餌場およびジュゴンにとって圧力となる行為を行わないことを要望します。

 私たち北限のジュゴン調査チーム・ザンはこの5月より6月にかけて、辺野古・大浦湾のジュゴンの食み跡調査を行いました。その結果、添付資料にあるように多数の食み跡が確認されました。また、522日に沖縄防衛局・調達部より『「シュワブ(H24)水域生物等調査」調査報告書』が公開されましたが、20133,5,11月にも食み跡が見つかっていたことがわかります。昨年公開された調査結果も合わせると、私たちが今回たまたま食み跡を見つけただけでなく、ジュゴンが3年連続で継続的に餌場として利用していることがわかります。嘉陽エリア、古宇利エリアと並び、沖縄のジュゴンの地域個体群の維持にとって重要な餌場の一つと言えるでしょう。大浦湾の他の場所にもエサを食べにきている可能性もあります。私たちは今後もジュゴンが安心してこの餌場を利用できること、また私たちはその様子を見続けていけることを望んでいます。 

 報道では、今夏の工事着工をにらんで、漁業制限区域(立ち入り制限区域)の拡大や、ブイの設置など該当海域への立ち入りの制限の可能性を示唆されていますが、辺野古埋め立てにより漁業に悪影響を受ける宜野座村漁協が埋め立てや岩礁破砕などに不同意であることを明らかにしています。それにも拘わらず埋め立て工事等を行うことは漁民から漁業を営む権利を奪うことであり、それは財産権の侵害にあたり違法です。さらに、埋め立て工事が終了して竣工がされるまでは、該当海域は公有水面のままであり、これを立ち入り禁止区域とすることも違法です。

 また、私たちが確認した食み跡が集中する場所は埋め立て区域と重なっています。防衛局アセスの評価では「沖縄のジュゴンは嘉陽沖の海域を生息範囲として他海域に移動することはほとんどなく・・・これらのジュゴンが今までの生息範囲に留まっている場合は、事業の実施がジュゴンの個体に及ぼす影響はほとんどなく、沖縄県全体のジュゴンの個体群の維持に対して影響を及ぼす可能性はほとんどない」とされていますが、この記述は現在の状況には当てはまらないと考えます。人間活動によって棲息地(餌場)を奪われ、数が減少した沖縄ジュゴン個体群にとって、現在頻繁に利用が確認される餌場は、彼らが生き延びるために必要な日々の糧を得る場所であると共に、太古から続いてきた沖縄ジュゴン個体群の存続を左右する重要な餌場でもあります。このような重要な餌場およびジュゴンに対して圧力となる行為を行わないことを要望します。ジュゴンへの保全措置はこの海域を活用している事実に即して、科学的知見を用いて再検討すべきです。 

            連絡先 鈴木雅子 〒905-0011 沖縄県名護市宮里4-12-8

 

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