2014年10月15日水曜日

【編集部から】軍事基地は台風に弱い!

編集協力者の一人が「こんなに台風が次々に来るところにどうして基地を造るんでしょう」と言いましたが、実にもっともな疑問です。

 東日本大震災の際、航空自衛隊松島基地で起きたことは忘れられがちですが記憶にしっかり刻まれるべき大事件です。ウィキペディアの解説を引用します。

 

 東日本大震災

 2011年(平成23年)3111446分頃に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生、東松島市では震度6強を観測。1450分、宮城県に1500分に高さ6mの津波が到達するとの気象庁発表。地震発生から約1時間10分後の1554分頃、基地は高さ2m以上の津波に襲われた。

 

 本来なら震度5以上なら直ちに航空機で上空から被害確認にあたるが、天候による視界不良、揺れで捜索機の前輪がずれたこと、激しい余震が予期される中でのヘリ離陸は回転翼が機体をたたく危険性があること、滑走路や誘導路に亀裂や断裂が生じている懸念の対策等から津波に襲われるまでに航空機を飛ばすことができず、駐機場および格納庫に駐機していた航空機28機(F-2B戦闘機×18機、T-4練習機×4機、U-125A救難捜索機×2機、UH-60J救難ヘリコプター×4機)全てが水没し、冠水のため基地機能も完全に喪失した。

 

 当時基地で勤務していた隊員約900名は建物屋上に避難し全員無事だったが、休暇中の隊員1名が死亡した[8]。天候悪化で視界不良だったこと、津波到来の時刻が当初不明だったこと等の条件が重なり、救難ヘリコプターを1機も発進させることができないまま航空機水没した。しかし民間ヘリコプターが上空より津波に襲われた状況をTV局により生中継していた。

 

                           ・引用はここまで

 

 航空機28機(F-2B戦闘機×18機、T-4練習機×4機、U-125A救難捜索機×2機、UH-60J救難ヘリコプター×4機)全てが水没という信じがたいことが起きたのですが、辺野古に新航空基地を押し付ければ同じことが起きないという保証はないでしょう。台風が接近すると嘉手納や普天間の戦闘機は韓国などに避難しますが、地震や津波は予告なしに起きます。

 1960年5月24日に襲来したチリ津波は沖縄にも押し寄せました。

 

 精密機械である戦闘機が潮に弱いことは常識です。沿岸部を埋め立ててその上に滑走路を造るのは海面近くに基地を置くことです。松島基地の事例をみてもまったく軍事的合理性を欠いた発想と言わざるを得ません。

 沖縄は「台風銀座」であり発達中の強力な台風が繰り返し襲来します。台風による高波が護岸を乗り越えることは容易に想像できます。

 何が何でも沖縄に米海兵隊を張り付けておきたいという政府の政治的思惑はそのような初歩的な問題さえ考慮していません。

 

あまり注目されませんが、防衛省HPに以下の告知が掲載されています。政府が「負担軽減の努力」を沖縄県民に誇示し、日米の軍事一体化を深化させる動きです。

 

米軍再編に係る嘉手納飛行場から新田原基地への訓練移転に関する訓練計画概要について

平成261010

防衛省

 

米軍再編に係る嘉手納飛行場から新田原基地への訓練移転(共同訓練)に関する訓練計画概要について、以下のとおりとなりましたので、お知らせします。

  訓練移転は、平成18年5月の再編実施のための日米ロードマップに基づき、二国間の相互運用性の向上及び米軍飛行場の周辺地域における訓練活動の影響を軽減するために行われるものであり、今回の訓練移転は、嘉手納飛行場の航空機による訓練を、新田原基地へ移転することを計画するものです。今回が35回目の訓練移転となります。

 

  間:平成26年10月18日(土)~31日(金)

(ただし、土曜日及び日曜日は、訓練を行わない。)

 

参加部隊:〔米軍〕第18航空団(嘉手納)

〔航空自衛隊〕

第5航空団(新田原)、第8航空団(築城)、

西部航空警戒管制団(春日)使用基地:新田原基地演練項目:戦闘機戦闘訓練等使用訓練空域:四国沖空域、九州西方空域参加規模:タイプ

 

〔米軍〕

 F-15×12機程度、人員約200名程度

 人員、物資輸送のため輸送機が飛来予定

 

〔航空自衛隊〕

 F-4×4機程度、F-2×4機程度、F-15×4機程度

本内容については、今後、変更される場合があります。

 

                       ・防衛省HPからの引用はここまで。

 

 

ガイドライン再改定に向けた中間報告の核心は10・9付沖縄タイムス・共同の記事「ガイドライン:米、一層の肩代わり期待」で理解できます。

 

 〈【ワシントン共同】オバマ米政権は日米防衛協力指針(ガイドライン)改定に向けた中間報告で、日米同盟が地理的制約を外し、日本の遠方でも協力できる「世界化」の方向に進むと期待している。米国防予算の制約を受け、米軍の任務を自衛隊に一部肩代わりさせる流れを一段と強めたい考えだ。

 「日米が協力する範囲の拡大が目的だ」。米国務省当局者は、中間報告の狙いをこう強調する。サイバーや宇宙といった新領域に加えて地理的な広がりにも主眼を置いている。

 中間報告は、テロや地域紛争、自然災害などへの対処を念頭に「グローバルな」日米同盟を強調。日米の協力を日本周辺有事に限定せず、自衛隊と米軍が共同対応する範囲を大幅に拡大する意図がうかがえる。〉

 

 米政府が求めるのは、地理的な制約なしに、つまり世界のどこででも自衛隊を米軍の補助部隊として使いまくろうということです。「中間報告」では「周辺事態」は削除され、安保条約の極東条項は踏み越えられるのですから、再改定は安保条約の改定にほかなりません。

 

 極東条項 日米安保条約第六条

 

 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

 

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