2014年11月11日火曜日

編集部から

日米が年末までの策定を合意しているガイドラインの再改定はどうやら越年しそうです。与党内、つまり自・公間の「安保法制の整備」をめぐる協議が遅れていることが影響していますが、同時に先の米中間選挙で上下院を共和党が制したことも米側が再改定を急がない理由と思われます。
 何度もデフォルト(債務不履行)の危機に直面してきた米国はかつては聖域だった国防費さえ強制的に半減するところまで追い込まれているので、同盟国に経済的・軍事的負担を強制せざるを得ません。その事態はアジア重視のリバランス(再均衡)政策にも影響するでしょうから、米側が日本側の「安保法制の整備」を見究めようと考えるのは当然でしょう。
 
 
 ▼日中首脳会談が注目されていますが、会談の前提になる4項目の事前合意にこうあります。
 
3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。
 
 「双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識」するとは、日中間に対立があることを認めたことですから、これは日本政府が「主権問題は存在しない」と突っ張り続けてきた姿勢を転換したことを意味し、国際社会は当然そう理解します。
 安倍や石破は「日本の姿勢は全く変わっていない」と強弁していますが、それは国内の保守・右翼勢力の猛反撃を恐れているからにほかなりません。
 「ある」、存在する問題を「ない」、存在しないと言い張る無理がついに崩れたことは歓迎すべきです。あとは係争中の問題を平和裏に解決すればいいのであり、それが困難な道であってもその道を進むしかありません。「不測の事態の発生を回避」して。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿