2014年7月4日金曜日

社説:辺野古着工に関する琉球新報・沖縄タイムスの社説


7・3付琉球新報・社説「辺野古着工 強行は構造的差別だ 民主国家なら移設断念を」から抄出。 

 〈沖縄防衛局は1日朝、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ内で普天間飛行場代替施設建設事業の工事に着手した。前日、環境影響評価条例に基づく事業の工事着手届出書を県に提出している。

 琉球新報が4月下旬に実施した県民世論調査では73・6%が辺野古移設に反対だ。県民の大多数が「ノー」と意思表示している。こうした中で工事が強行された。

  稲嶺進名護市長も移設反対を明確に表明している。地元の民意を踏みにじって工事を強行する政府の姿勢を見ると、果たして日本は民主主義国家と言えるのかと思わずにいられない。 


  世界に広がる反対 

  平和学の第一人者であるヨハン・ガルトゥング氏は、単に戦争がない状態を「消極的平和」と規定する。人々や社会の安全を脅かす抑圧や差別などの不正義を「構造的暴力」と称し、それがない状態を「積極的平和」と呼ぶ。

  同氏は、基地の過重負担を強いられる沖縄について「構造的暴力の下に置かれている」と指摘した。移設工事の強行はまさに「構造的暴力」だ。それを実行する安倍首相が「積極的平和主義」と称するとは、倒錯そのものだ。

  そのガルトゥング氏も名を連ねた海外識者による米軍普天間飛行場即時返還と辺野古新基地建設反対の声明には、1万1700人余が賛同の署名を寄せている。移設反対の声が世界に広がっていることを日米両政府は直視すべきだ。

  工事の強行を可能にしたのは、昨年末に仲井真弘多知事が埋め立て申請を承認したためだ。それでいて知事は今も「県外移設の公約は捨てていない」とうそぶく。誰が見ても理解できない詭弁を続けるのは茶番でしかない。

  環境省の有識者会議は日本の排他的経済水域(EEZ)内で生物学や生態学の観点から重要な場所を「重要海域」に選定した。辺野古沖も含まれる。この海を埋め立てるのは海の生物多様性を保全する国際的な流れにも逆行する。

  この国が真の民主主義国なら、工事を即座に中止し、辺野古移設を断念するほか道はない。〉

 

〔参考記事〕 

社説・辺野古着工 強行は構造的差別だ 民主国家なら移設断念を 7・3 琉球新報 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-227924-storytopic-11.html
 

7・3付沖縄タイムス・社説「[辺野古着工]海外世論に働きかけを」から抄出。 

 〈新基地建設には既視感がある。歴史のカレンダーをひもといて、60年前にタイム・スリップしてみよう。  

 1954年7月、宜野湾村伊佐浜の水田13万坪に対し、米軍から耕作禁止の通告が出た。米軍は住民に立ち退きを勧告し、55年3月、武装兵とブルドーザーを投入して家を焼き払い、土地を強制接収した。 

 伊江村真謝、西崎の農民も米軍から射爆場拡張のため農地の明け渡しを求められていた。54年6月、初めての立ち退き命令が出された。55年3月には武装兵が出動し、家に火を放ってブルドーザーで引きならし、民家13戸の強制的な立ち退きを実行した。

 土地を強制接収された伊江村真謝、西崎や宜野湾村伊佐浜の住民がその後、どれほど辛酸をなめたことか。

 米地上兵力が沖縄に集中した結果、県民がどれほど人権を脅かされ、生命・財産を奪われてきたことか。
 
          

 普天間飛行場の返還のためとはいえ、基地の過重負担に苦しんできた沖縄で県内移設は禁じ手だ。立ち入り禁止区域の拡大、警戒船の大量投入、刑特法による逮捕。今、名護市辺野古で起きていることは、有無を言わせない押しつけという意味では「現代版・銃剣とブルドーザー」と呼ぶのがふさわしい。 

 日米両政府が公正・公平・平等の原則を踏みにじり、犠牲を一方的に押しつけるのであれば、国際世論にその理不尽さを訴え、関係国際機関に提起し続けるしかない。〉
 

〔参考記事〕 

社説[辺野古着工]海外世論に働きかけを 7・3 沖縄タイムス

 

 

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