普天間の「5年以内運用停止」という仲井真知事の要求をめぐる政治芝居を沖縄タイムス・琉球新報2県紙の社説が厳しく批判しました。政府が辺野古新基地建設を「粛々と」進める一方で、まるで実現性のない対米要求の実現をさも成就できるかのように見せかける動きが続いていますが、それは明らかに安倍政権による仲井真知事への政治的援護策です。
編集部
〔参考記事〕
◆◆社説・「5年以内」否定 茶番劇の続行は無意味だ 4・12 琉球新報 ・抄出
知事は昨年末の辺野古移設埋め立て承認の際、条件に掲げていた「5年内運用停止」について、「首相が言ったことそのものが担保だ」と述べ、政府が保証したとの認識を強調した。
だが安倍晋三首相は「努力を十二分に行う。できることは全てやる」と述べたにすぎない。「努力したができなかった」という「逃げ道」を用意した言い方だ。
そうした政治家の「文法」を、通産省の役人だった知事が知らないはずがない。それでいて首相が本気で取り組むと信じているように装うのは、不誠実極まりない。
日本政府に取り組む意思がない証拠は山ほどある。岸田文雄外相は2月の訪米でケリー国務長官、ヘーゲル国防長官らと会談したが、「5年以内運用停止」は言及さえしていない。ヘーゲル氏が5日に来日した際も、安倍首相や小野寺五典防衛相は「5年内-」が沖縄側の要望だと述べたが、単なる「伝言」にすぎない。具体的な議論どころか、自らの意思として要求すらしなかった。
その意思のなさはまた、既に繰り返された光景である。1999年に稲嶺恵一知事(当時)が辺野古移設を受け入れた際、知事が求めた「15年使用期限」について、政府は「米政府との話し合いの中で取り上げる」と閣議決定したが、まるで交渉しなかった。今回はその閣議決定すらないのだ。取り組むはずがない。
そもそも知事の埋め立て承認は、誰が見ても基地に対する「イエス」だ。移設埋め立てを承認しておいて「運用停止」を口にしても、米国が本気の要求だと思うはずがない。誰も信じていない茶番劇をこれ以上演じても無意味だ。
普天間の返還合意から12日で満18年だ。いつまで茶番を続けるのか。本当に沖縄の負担を軽減するなら県内移設の呪縛を解くべきだ。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-223387-storytopic-11.html
◆◆社説[5年以内停止否定]虚構の担保と承認の罪 4・13 沖縄タイムス ・抄出
在日米海兵隊トップのウィスラー司令官が、ワシントン市内で講演し、仲井真弘多知事が求めている米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止について「新しい施設ができるまで動くことはできない」と否定した。
政府は普天間の運用停止を協議する推進会議を2月に発足させた。首相は初会合で「できることはすべて行う」と述べたが、裏を返せば「できないこともある」と言っているに等しい。
5日に来日したヘーゲル米国防長官に対し、首相や小野寺五典防衛相は会談で、普天間の5年以内の運用停止について言及したというが、「伝えた」というアリバイづくりにすぎない。
小野寺防衛相は8日の衆院安全保障委員会で、実現に向けた日本政府の要望ではなく、県の要望として伝えたにとどめた-と述べている。知事の言う「担保」の実態が、限りなく実効性に乏しいものだと証明されているようなものだ。
普天間の5年以内の運用停止については、米太平洋軍のロックリア司令官も上院軍事委員会の公聴会で、代替施設が完成するまで、飛行場の機能を維持し、使用を継続する意向を明言している。
これでは、負担軽減なき埋め立て承認となる可能性がある。普天間の県内移設に反対する県民の多数意思を裏切り、埋め立てを承認した知事の責任は極めて重い。
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=66760
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